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そこに行けば心を豊かにしてくれる空間、

お茶を飲んでいるとつい時間を忘れそうになって、

一人を楽しみたい人もおしゃべりを楽しみたい人も、みんなを楽しみたい人も、

それぞれがそれぞれに過ごすことのできるちょっとした隠れ家が、グラニーズです。

本と手作りと日々の暮らしを愛する女性のために!

2020年2月2日日曜日

弁造さんのエスキース展(2)

弁造さんの庭は、一つの家族が自給自足できるように綿密に計画されていました。奥山淳志さんは弁造さんの書き残したメモや覚書のような小さなものも注意深く記録していますので、写真集を見ていると、弁造さんの庭の設計や農作業の計画なども見えてきます。2年もかけてスコップ1本で掘り上げた池にたんぱく源になる生き物を放ち、野菜を育て果樹を植え、小鳥の餌になる実のなる木も植え、一年を通じて順に作物を収穫できるようにしていました。甘みのためにはわざわざメープルを苗木から育て、秋には美しく紅葉する大木に育ちました。(でも結局、樹液を採るため樹皮を傷つけるのが可哀そうで、メープルシロップは夢に終わったそうです)。

              


衝動のようにさえ行われる
すべての農業労働を
冷たく透明な解析によって
その藍いろの影といっしょに
舞踊の範囲にまで高めよ


と詩に書いたのは宮沢賢治ですが、弁造さんの農業労働は本当に芸術の域に達していたかのようです。

そして若い時から絵が好きで農閑期には東京の美術学校に通い、絵描きになるのが夢だった弁造さん。人生の紆余曲折で一度はあきらめたものの、もう一度絵筆をとり始め、一生に一度は個展を開きたかった弁造さん。その夢を叶えてあげようと、弁造さんが残した沢山のエスキース(絵の下絵)を持って、奥山淳志さんは「弁造さんのエスキース展」のため、各地を東奔西走中です。仙台展もあと一カ月となりました。3月2日からエスキース展、最終日3月19日には奥山さんのトークショーがあります。







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