About Us

そこに行けば心を豊かにしてくれる空間、

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本と手作りと日々の暮らしを愛する女性のために!

2022年8月30日火曜日

シャーリー・ヒューズの絵本

 突然の話題ですが、シャーリー・ヒューズというイギリスの絵本作家がいます(いました、と言うべきかも)。日本ではほとんど知られていないのですが、私は大好きで、昔、出版社に売り込んだことがあります。即、”今風でない”という理由で却下されました。数年前残念なことに亡くなられた灰島かりさんがやはり大ファンで、十数社に持ち込んだけれども一様に、”絵がかわいくない”という理由で全部断られたそうです。絵本や児童文学を何冊も翻訳なさっている方が持ち込んでもダメなのですから、やっぱり日本では受けない作風と思うしかありません。



 ですけれど私は熱心なファンですからせっせと絵本を買い、シャーリーさんはすでにそれなりのお歳でしたから時々ネットで検索して消息を追い、お元気だとホッとしていたのですが、今年の2月に亡くなられていることを知りました。で、何だかとても落ち込んで、でも誰かに絵本のことを紹介したくて、何冊か訳して、パソコンでコピペを駆使して実に安易な、私家版とも言えないホチキス止めの簡易本を作って、面白いと思ってくれそうな人に見せたりしました。面白いと思ってくれそうな人ですから当然、”面白い!”と言ってくれました。

          

内容からいったら、子供なら誰もが経験しそうなあたりまえの日常のできごとがほとんどです。宝物みたいに大事にポケットに入れていた石っころが、海水浴にいったら行方不明、悲しくて泣いてしまう、とか、お母さんが風邪で急きょ、近所のおうちに預けられるのですが何しろ”イヤイヤ期”真っ最中、行きたくないとさんざん反抗するのですが、行けば家とは違う楽しい時間が過ごせて、最後は迎えに来たお父さんに得意の決めゼリフ「(家には)行きたくない」と反抗するお話とか、お家作りが大好きな女の子や、雨の日に家の中で北極探検ごっこをするとか、出てくる子供たちやその遊びが本当に子供らしいのです。

         

         

          

どうしてイギリスでは何世代にもわたって”国民的”といっていいほどの人気作家が日本では一顧だにされないのか、本当に不思議です。それで考えたのですが、絵本に描かれるようなイギリスでは今もあたりまえの子供の生活が、日本の子供には殆どないからではないだろうかと思い至りました。近くに野原があって牛や羊がいて、草むらには虫がいて、それを追いかけて遊ぶという環境、大人はいざというときには助けてくれるけど大体は一歩さがって黙って見守っているだけとか、昔はそうでしたが今は違います。だから私などはいつまでも楽しかったと懐かしく思い出すのかもしれませんが、今の日本の子供たちの生活はもっと都会化され抽象化されたものになっているのでしょう。危険も多くて目が離せなくもなっていますし。

でもこんな風に全身で怒っている表情など、私はすごーくかわいいと思ってしまいます。灰島さんなどは三歳と三歳半を描き分けられる作家と激賞しています。

             

蛇足ですが、この位の怒りで、国葬反対!と言ってみたいものですね。