日曜日は春めいてほっとする気候でしたが、月曜日は大雪。
火曜日、グラニーズのキッチンスタッフは仙台の中でも雪の多い山沿いですので、自宅待機していただきました。私は店にいましたが、お客様はなく(車でも歩きでも足元の悪さは半端ではありませんので)、ちょうど良い機会でしたのでギャラリーの展示交換をしました。
お雛様を飾りました。
段飾り。これは昔、両親が私に買ってくれたものです。
私が3歳のときでしたが、父は勤めていた病院を辞めて医院を開いたばかりでした。ところが数か月もしないうちに隣の家から夜中に出火(ひよこを温めていた電気が原因とのことでした)、強風のためその町内一帯を焼きつくす大火になりました。父は恐怖でまとわりつく2歳年長の兄をなだめながら医師免許証と大切にしていた顕微鏡を持ちだすのがやっと、自転車の後ろの荷台に2歳の弟をくくりつけ、私は母に手を引かれながら振り返った夜空に高く燃えあがる凄まじい炎と飛んでくる火の粉が今も記憶にあります。戦争はもうとっくに終わっていたわけですが、私は今も、空襲の記録を読むとあのときの私たちが遭遇して全てを失った火事のことを思うのです。
で、何もかも失った両親が、私のためにわざわざ東京の三越に注文して買ってくれたお雛様です。小学校の2年生だったと思うのですが学校から帰ったら座敷に大きな荷物が積んであって、すごくうれしくて、早く3月が来て欲しくて、大興奮でした。私はお人形が大好きでした。
段を組み立てお人形を飾り、雪洞を灯すとまるで夢の世界で、私は飽かずにその前に座って眺めていたものです。でもその後このお雛様はずっと実家においてあり、このグラニーズを始めるまで、母が時たまお内裏様を出すことはあっても段を組み立て全部のお人形を飾ることは何十年もありませんでした。そういう意味では一緒に見て下さる人がいるこのカフェギャラリーを始めて良かったなあとしみじみ思います。
そして娘が生まれたときに買った木目込みの内裏様。これもいまだに実家である我が家にあって私が飾っています。
これは友人から頂いた紙の手作りの内裏びな。美しい紙を選んで手ずから折ったお雛様。台座はかまぼこ板に色付けし、赤い布を敷いた小さなみやびなお雛様をみると、続いてきた行事に心が和みます。
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