待ちに待った『キャンドルフォード』の出版ですが、書店での発売は10月31日でした。本が店頭に並び始めてからそろそろ2週間、さてどんな風なのか、一昨日街に偵察に出かけました。ところで、もしかしたら全国的に似たような状況になっているのではないかと思いますが、仙台では大きな書店も小さな書店も街から少しずつ姿を消して少なくなっています。東一番丁通りという商店街に一昔前は、金港堂、高山、アイエ、丸善などの老舗書店が本店支店、何軒もありました。その後新しい全国展開の書店も進出してきて一応”学都”の顔は保っていたはずなのですが、この数年で数えるしか残っていません。1時間歩いて3軒の書店を巡り、『キャンドルフォード』の現在を見て来ましたが、一つの書店では英米文学の棚に並んでいて検索すると在庫は2冊。2店目はそもそも外国文学のコーナーそのものがものすごく狭く、ここは最初から仕入れていないだろうなあ、という感じ。3店目は海外文学の棚にはなかったので検索機で探したら”在庫あり”と出て”バックヤード”の棚にあるとの情報なので、店員さんに聞いたら調べてくれて、売れてしまったとのこと。店頭の棚には並ばなかったけれどどなたかが買って下さったということなのかも知れません。棚に並ばなかったのを悲しむべきか、でも並ばなくても売れたことを喜ぶべきか、ちょっと複雑です。
本の販売は出版社から取次を通して書店に届けられ売られるというのが、従来の仕組みでした。でも今はオンラインでの注文、販売がかなりの割合を占めるようになっているのでしょう。日販、東販という二大取次が朔北社から引き受けてくれた冊数は全国に配る分で、合わせても600冊に足りない数だと言いますから、出版社も自力で営業努力が求められます。出版業界も書店も大変だなあと、改めて活字文化の危機的状況が垣間見えました。
私も頑張らねば、と覚悟を新たにしたところです。
下の木版画は『キャンドルフォード』が初めて出版されたとき挿絵に使われたものです。実際の地名はフリングフォードといいます。左端の建物にミス・レーンの郵便局がありました。
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